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▼物理学科でのカリキュラム▼

物理学を体系的に学ぼうとする場合、基礎的内容から専門的内容までカリキュラムに沿って勉強することになります。

一般的にカリキュラムは以下の3つから構成されます。

(1)理論の勉強
(2)実験
(3)演習・ゼミ

 

◆力学と電磁気学

学部1年生では物理学の基礎である「力学」と「電磁気学」を習得します。素粒子物理学宇宙物理学相対性理論量子論に憧れて物理学科に進学する人も多いでしょうが、まずは基礎から入ります。

 

・「力学」の定番参考書の一つは原島鮮の『力学―質点・剛体の力学』。物理学科1年生の参考書として挙げられる入門書です。(いくつかの版があるので要注意。)

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・「電磁気学」については、長岡洋介の『電磁気学(1)』が非常にわかりやすいです。岩波書店の「物理入門コース」シリーズは、初心者にわかりやすい反面、内容的に物足りない巻もありますが、つまずかないで基礎を習得したい人にはおすすめ。

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これらは、実は、19世紀までの古典物理学と呼ばれる分野です。アインシュタイン相対性理論ボーアハイゼンベルクらの量子論以降の物理学が現代物理学と呼ばれるのに対して、ガリレオ・ガリレイニュートンたち、近代の科学者(当時は自然哲学者)が築いた物理学は古典物理学と呼ばれます。(詳しくは「科学史(物理学史)」を参照して下さい。)

 

 

◆数学:解析学と代数学

物理学の勉強と同時に、いわば自然現象を記述するための道具となる数学も学ばなければなりません。1年次は解析学と代数学を学びます。

 

解析学微分積分学)の参考書として挙げられるのは高木貞治の名著『解析概論』。一見、難解ですが、読めば読むほど、本質を捉えてわかりやすく書かれていることがわかってきます。但し、軽装版とはいえ、そこそこ重いですし、学部1年生程度では最初の部分しか使いません。本気で学びたい人にはおすすめ。

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・最近は新版が出たようです!?

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物理数学参考書として、要領よくまとまっている本としては、矢野健太郎/石原繁の『解析学概論』もあります。

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線形代数参考書として有名なのは、佐武一郎の『線型代数学』。

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これらとあわせて、物理実験やプログラミングなども学んでいきます。実験は、とにかく時間と労力を要します。簡単な実験でも数時間の実験を要し、データをとって解析したり、表やグラフを作ったり、理論的な説明を考えたり、実験メンバーで議論したり、レポート(実験の報告)を書いたり…。徹夜でレポートを書くこともあります。実験屋の研究者になった友人はPhysicalとは「肉体的」という意味だと言っています。

実験はともかく、「なぜプログラミング?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、今日、物理学の研究を進めていく上でプログラミングのスキルは必須です。

実験屋さんは、実験のためのソフトウェアを使用するばかりか、自分でソフトウェアを開発する必要もあります。素粒子物理学を研究する理論屋さんも、自分でプログラミングをして数値計算をします。中学や高校で習う数学だと、方程式は必ず解けるものだと誤解されるかもしれませんが、現代物理学で扱う方程式は必ずしも厳密解が出せるわけではなく、数値計算ソフトなどを使って近似的な値を出すことも多いのです。

 

 

◆熱力学・量子力学・解析力学・電磁気学の発展

学部2年次には、熱力学量子力学解析力学、さらに電磁気学の発展を学ぶことになります。

 

・少し専門的ですが、久保亮五の『大学演習 熱学・統計力学』。熱力学は、もともと実用的な学問でもあったので、演習問題を解くことが大事です。また、熱力学統計力学に接続するので、下記の統計力学の参考書内にある熱力学の部分を読むのもよいかもしれません。

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・標準的な参考書は小出昭一郎の『量子力学(I)』。大学によっては「量子論」という表題のもとに前期量子論を教えている場合もあり、その場合は、統計力学の方が授業内容に近かったりする。なお、ランダウ・リフシッツなどの参考書も有名だが、翻訳書ということもあって読みづらい。量子力学の歴史も勉強したい人には、下記の朝永振一郎参考書がおすすめ。

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・まさに量子力学の基礎を作り、ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎による入門書量子力学』。プランクやレイリー・ジーンズ、アインシュタインたちによって形成された量子力学を、歴史的観点を織り交ぜながら解説している名著。純理論的に学びたい場合は、上記の小出昭一郎の参考書の方が標準的かもしれない。(詳しくは「科学史(物理学史)」を参照して下さい。)

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解析力学の参考書の一つはランダウ・リフシッツの『力学』。上で紹介した原島鮮の『力学―質点・剛体の力学』が入門的な力学の参考書であるのに対して、これは、やや専門的な力学の参考書であり、解析力学の参考書でもある。

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これらとあわせて、電磁気学の発展や、物理数学、実験やプログラミングなども継続して学んでいきます。大学によって、幾何学位相空間論集合論群論が必須であったり、選択科目であったりするようです。

 

 

◆統計力学・量子力学の発展・個々の専門分野

3年次にもなると、いよいよ現代物理学に入っていきます。授業科目も、より高度で専門的な選択科目になり、各人が自分の興味がある分野や科目を受講するようになってきますが、一般的に統計力学量子力学の発展は必須科目です。

 

統計力学入門的な参考書としては長岡洋介の『統計力学』があります。

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入門的でありながら、上記よりも濃い内容なら、久保亮五の『統計力学』があります。熱力学の欄で紹介した『演習』もあります。

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学部3年次では、これらの他に、量子論の発展や、相対論素粒子物理学宇宙物理学流体力学光学等々を選択科目として学ぶことになるでしょう。

大学によって異なりますが、4年次には研究室に所属して、実際に物理学の研究をします。指導方針は研究室およびそこのボス(指導教員)に依存するので一概には言えませんが、所属研究室のメンバーとして、そこでの課題の一部を研究したり、あるいは比較的簡単な研究を卒業研究として扱ったりします。課題は、指導教員によって割り当てられるところもあれば、自分で選べるところもあります。何を研究するかも大事ですが、どんな研究室・指導教員につくかも、非常に重要です。場合によってはその後の人生を左右することもあるかもしれません。

 

では、次に物理学科卒業後の進路をみていきましょう。

物理学専攻者の進路

 

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